PROFILE
鍛冶師 山﨑龍太郎
-
-
80cm角の横座が自分の一国一城やきね。
親父の鎚音を目標にチャレンジ精神を持って
鉄を鍛え、自分を鍛えていく。
薄暗い鍛冶工場に裸電球が揺れる。「暗いろう?けんど、炉の火の色や真っ赤に焼けた鉄の色が見えんといかんわけ。その色を見て目で温度を知る。目が温度計やなかったら、この仕事はできん」と山崎さん。 深さ1メートルほどの横座と呼ばれる穴に入って仕事をする。ベルトハンマーを巧みに操り、その鎚が1回降りる度に手首を返しながら、表裏と何度も交互に叩いていく。ハンマーを使いこなすにも、かなりの年数を要するのだそうだ。
「その叩く音も親父と僕では音の質が違うでしょう?作っている商品も違うし、使っている素材も違うけんど、親父の鎚音はズンズンズンと地に響く音。それを鎚が効くというが、鎚が効かん人は甲高い音がする。親父の鎚音を子どもの頃から子守唄のように聞いて育って、その音が鍛冶屋としての自分の目標になった。僕のDNAに刷り込まれちゅうがやと思う」という。
鍛冶屋の基本は鎚の研ぎ方、金床の研ぎ方にあると言われ、いかに厚いところは厚く、薄いところは薄く叩き上げるかが大事なのだそうだ。
そうして打ち上がる鎌は用途によって厚さやカタチが違う。
「使う人の要望によっても、それこそ千差万別のカタチが作れる。僕らはそれを自由鍛造と呼んでいますが、他の刃物の産地ではできない小回りのきく部分だと思う」という。
山崎さんは鍛造歴20年。高専卒業後、大阪のプラスチック会社に勤めていたが27才の時に父親に弟子入りし、鍛冶職人の道に入った。「親父には到底追いつけんので、独自の生き方も選択しながらやっていかないといかん。鍛冶は勘の技であり、それは自分自身が作り上げるものやと思う。ザクリは土佐打刃物の伝統がベースにあってできること。チャレンジ精神を持って挑んでいきたい」。
80センチ角の横座を自分の一国一城に、鉄を鍛え、自分を鍛える。
ZAKURI商品ラインナップ
ページトップへ